この記事の要点
- UGCマーケティングとは、お客様がSNSなどに投稿した写真や感想で、新しいお客様を迎える取り組みです。
- 投稿を自社のサイトや広告に使う前に、投稿した人に許可を依頼し、返事を記録に残します。
- 自社サイトに載せる投稿は評価の良し悪しで選ばず、内容を変えずにそのまま引用します。
目次
UGC とは、お客様が SNS などに投稿する写真や感想のことです。この投稿を増やし、その投稿で新しいお客様を迎えるのが UGCマーケティングです。
まずは、お客様が投稿したくなる場面をつくります。集まった投稿を自社のサイトや広告に使うときは、先に投稿した人の許可を取ります。見返りを渡した投稿や、選んで載せる投稿は、ステルスマーケティング規制(ステマ規制)に沿っているかも確認します。(関連記事:ステマ規制とは?紹介や口コミのお願いで、どこまでなら大丈夫か)
UGCマーケティングとは:お客様の投稿で新しいお客様を迎えること

UGC は User Generated Content の略です。ブランドではなく、使った人がつくって公開した写真・動画・感想を指します。
OECD(経済協力開発機構)は2007年3月の会合向けの報告書で、利用者がつくるコンテンツ(原文は User-Created Content)を次の3つの条件で説明しています(OECD「Participative Web: User-Created Content」)。
- インターネットで公開されていること
- つくった人なりの工夫が加わっていること
- 仕事として決まった手順の外でつくられていること
同じ報告書は、UGC には多くの場合、組織や商売の文脈がないとも書いています(9ページ)。
近い言葉の口コミ・紹介とは、ブランドが決められることが違います。
| UGC | 口コミ | 紹介 | |
|---|---|---|---|
| 中身 | 写真・動画・感想の投稿 | 使った人の感想全般 | 知り合いに勧めること |
| 主に届く相手 | フォロワー・検索した人 | 読みに来た人・身近な人 | 顔の分かる知り合い |
| ブランドが決められること | お願いの仕方・投稿の使い方 | ほぼ決められない | 特典と条件 |
口コミの増やし方は口コミマーケティングとは?で、紹介の型はリファラルマーケティングとは?で扱っています。この記事は、UGC ならではの「ブランドが投稿を使う」場面に絞ります。
UGC が生まれる場所と種類

UGC は主に、SNS の投稿・通販サイトのレビュー・写真や動画つきの感想として生まれます。種類によって、自社で使いやすい場面が変わります。
| 種類 | 生まれる場所 | 自社で使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 写真 | Instagram・X | 商品ページ・SNS |
| 動画 | TikTok・Instagram・YouTube | 広告・SNS |
| 感想の文章 | X・ブログ・レビュー欄 | 商品ページ・メール |
| 使い方の工夫 | SNS・ブログ | 使い方の案内ページ |
写真と動画は、文字だけの感想よりも「使っている様子」が伝わります。
UGC を集める方法

投稿したくなる場面をつくる
投稿したくなる場面の例は、届いた・できた・変わった、と感じる瞬間です。EC なら、開封したときの見え方を写したくなる形に整えます。アプリなら目標を達成した日の画面、スクールなら修了のときの作品がこれに当たります。その画面に SNS へ共有するボタンを置くと、投稿の手間が減ります。
ハッシュタグで投稿を識別する
ブランド名を含む短いハッシュタグを1つ決めます。(関連記事:SNSキャンペーンとは?4つの種類と、新しいお客様につなげるやり方)商品ページ・購入後のメール・SNS のプロフィールで、同じものを案内します。ハッシュタグを1つにまとめると、投稿を探しやすくなります。見返りの条件にするハッシュタグには、感想や評価の言葉を含めません。「#毎日食べたい美味しさ!」のような具体的な感想まで条件にすると、「事業者の表示」に当たると考えられます(消費者庁のステルスマーケティングに関する Q&A の Q8)。
なお、ハッシュタグがついていても、自社のサイトで使ってよいとは限りません。使う前の手順は「投稿を使う前の5つの手順」で書きます。
購入後にお願いする
商品が届いた数日後や、初めて使ったあとに、メールや LINE 公式アカウントで投稿をお願いします。お願いに割引程度の見返りを提供するなら、文面で書く内容や評価を指定しません。理由は「見返りを渡した投稿は、ステマ規制を確認する」で説明します。
見返りとして景品や謝礼の品を渡すなら(抽選で渡す場合も、全員に渡す場合も)、景品表示法の上限も確認します。消費者庁の景品に関する Q&A の Q19 は、SNS でハッシュタグをつけて投稿する懸賞を扱っています(関連記事:SNSキャンペーンと景品表示法|特典の上限がかかる形と、かからない形)。商品の画像や使用感を併せて投稿すると、当選確率が2倍になる設計です。購入を直接の条件にしていなくても、「当選確率が2倍になると告知していることから、応募に当たり、この事業者の商品を購入する蓋然性が高いと考えられます。」としています。そのうえで、「本件は、取引に付随することになりますから、一般懸賞の規制の対象となります」と書いています。
投稿を使う前の5つの手順:許可を取り、表示を確認する

集まった投稿を自社のサイトや広告に使う前に、次の順に確認します。
- 投稿した人に許可をお願いする:SNS のコメントやメッセージでお願いします。伝えるのは、使いたい投稿・使う場所(商品ページ・広告など)・使う期間・名前の表示方法です。
- 返事を記録に残す:「使ってよい」という返事を、画面の保存などで残します。誰が、いつ、どこまで認めたかを後から確認できるようにします。
- 写っている人を確認する:投稿した人以外の顔が写っていないかを見ます。写っていれば、その人の了承が取れているかを投稿した人に聞きます。取れていなければ、その写真は使いません。投稿した人が自分で撮ったものかも、あわせて聞きます。
- 見返りと指定の有無を確認する:その投稿に割引や謝礼を渡していたか、書く内容を指定していたかを確認します。判断の目安は、消費者庁のステルスマーケティングに関する Q&A にあります。書く内容や評価を指定した投稿は、「事業者の表示」に当たると考えられます(Q6・Q8)。個別に依頼して報酬を渡した投稿は、「事業者の表示」に該当する可能性が高いとされています(同じ Q&A の Q19)。こうした投稿は「お客様の声」として載せません。載せるなら、依頼した投稿だと明瞭に分かる形で表示します(同じ Q&A の Q16)。
- 許可の範囲で載せる:伝えた場所と期間の中で使い、誰の投稿かが分かる形で載せます。自社のウェブサイトに載せるときは、恣意的に抽出することなく、内容に変更を加えずにそのまま引用します。好意的な評価をしているものだけを選んで引用すると、「事業者の表示」に当たると考えられます。その場合は、「事業者の表示」であることを明瞭にしなければ告示に違反するとされています(同じ Q&A の Q10)。Q10 は、アンケートの回答を「お客様の声」に載せる例です。許可をお願いする投稿も、許可を取れた投稿の中から載せる投稿も、評価の良し悪しで選びません。
許可が必要な理由:投稿には投稿した人の著作権がある
投稿された写真や文章は、投稿した人の著作物にあたることがあります。著作権法は、著作者がその著作物を複製する権利を専有すると定めています(第21条)。インターネットで公開するなどの公衆送信を行う権利も、著作者が専有します(第23条。著作権法)。SNS で公開されている投稿でも、自社のサイトや広告に載せてよいと認められたわけではありません。手順1と2で許可を取り、記録を残すのはこのためです。
海外では、投稿を使う許可の取り方を公式の規約として公開している例があります。BRP は、Can-Am・Sea-Doo・Ski-Doo を展開しています。公式サイトには「User-Generated Content (UGC) Policy」というページがあります(BRP の UGC ポリシー)。
BRP は SNS の投稿を再利用するとき、投稿へのコメントやダイレクトメッセージで許可を取ると説明しています。指定のハッシュタグでの返信を求める方法もあります(「reply using a specific hashtag (e.g., #YesBRP)」)。
投稿した人が許可すると、BRP は投稿の利用の許諾を得るとしています。原文は「non-exclusive, royalty-free, worldwide, perpetual, and irrevocable license」です。非独占的・無償・全世界・永続的・撤回不能な許諾という意味です。別に書面で合意しない限り、投稿した人は投稿の利用に対価を受け取りません。原文は「you will not receive payment or other compensation for the use of your content」です。
見返りを渡した投稿は、ステマ規制を確認する
いわゆるステマ規制の告示は、2023年(令和5年)10月1日から施行されています(ステルスマーケティングに関する Q&A の Q20)。この Q&A は、投稿のお願いについて次のような例を挙げています。
- 投稿を条件に割引程度の見返りを渡しても、内容を指示しなければ、通常は「事業者の表示」に当たらない(Q6・Q7)。予約サイトの口コミと通販サイトのレビューの例
- 評価(星5など)や、推奨するコメントを条件にすると、「事業者の表示」に当たると考えられる(Q6・Q8)
- 個別に投稿を依頼して報酬を渡すと、「事業者の表示」に該当する可能性が高い(Q19)
ステルスマーケティングに関する Q&A の Q19 は、この場合に「事業者の表示」であることが明瞭となるような記載をすることが適当としています。例として挙げているのは「Z社から依頼を受けて投稿しています」という記載です。UGC として集めた投稿でも、内容を指定したものや個別に報酬を渡したものは、この扱いになり得ます。
同じ Q&A の Q16 は、インフルエンサーに依頼した投稿の例を挙げています。「事業者の表示」に当たる投稿を「お客様の声」として自社のウェブサイトに載せることは、適当ではないとしています。載せる場合は、自社が依頼した投稿であることを示します。その示し方は、ウェブサイトを見た一般消費者にとって明瞭になる形で表示する必要があるとしています。手順4は、ここを確認するためのものです。
UGC の効果の測り方と、投稿してくれた人に紹介をお願いする流れ

UGC の効果は、「集まる」「使える」「成果」に分けて数えると、どの段階で停滞しているかが分かります。
| 見るところ | 数えるもの | 伸びないときに見直すところ |
|---|---|---|
| 集まる | ハッシュタグつきの投稿の数 | 投稿したくなる場面・お願いの時期 |
| 使える | 許可を取れた投稿の数 | お願いの文面・使う場所の伝え方 |
| 成果 | 投稿を載せたページの申し込みの割合 | 載せる場所 |
成果は、投稿を載せる前と後で、そのページの申し込みの割合を比べます。
自分から写真や感想を公開してくれた人は、すでにブランドのことを人に話しているお客様です。許可のお礼を伝えるときに、紹介のお願いを添えます。紹介コードや紹介リンクを渡せば、誰の紹介で新しいお客様が来たかを数えられます。「勧めたい」気持ちを紹介につなげる方法は、NPSとは?で扱っています。
紹介してくれた人にお礼を渡すなら、景品表示法を確認します。同じ景品に関する Q&A の Q31 は、購入者を紹介してくれた人(紹介者)への謝礼を扱っています。この謝礼は、取引に付随する提供に当たらず、景品類には該当しないとしています。そのうえで、次のように書いています。
紹介者を自己の供給する商品又は役務の購入者に限定する場合には、取引に付随する提供となり、景品類に該当し、通常、総付景品の規制の対象となります。
投稿してくれたお客様だけに紹介をお願いして謝礼を提供する形もあります。投稿してくれた人がみな購入者なら、紹介できる人を購入者(すでに買ったことがある人)に限ることになります。その場合は、Q31 の「紹介者を自己の供給する商品又は役務の購入者に限定する場合」に当たる可能性があります。当たれば、景品類に該当し、通常、総付景品の規制の対象となります。特典の額は、紹介キャンペーンと景表法の4つの問いで確認してから決めてください。
Jolt Me について Jolt Me は、友だち紹介プログラムの立ち上げから特典のお届けまでを自動化する、リファラルマーケティングプラットフォームです。紹介コードの発行、成果の計測、特典の配布、不正の検知までを管理画面ひとつで運用でき、EC・D2C、アプリ・SaaS、スクール、フィットネス・サロンなど幅広い業種で導入いただけます。
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