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紹介キャンペーンと景表法|特典の上限を4つの問いで判断する

紹介キャンペーンの特典に景品表示法(景表法)の上限がかかるかは、誰に・何で・どう渡すかで決まります。紹介できる人を購入者に限ると、通常は総付景品の上限がかかり、紹介された人への初回割引は値引として扱える場合があります。4つの問いの手順と計算例、海外の規約の書き方をまとめました。

田中 悠 公開

この記事の要点

  • 紹介キャンペーンの特典に景品表示法の上限がかかるかは、特典を誰に・何で・どう渡すかで決まります。
  • 紹介した人への謝礼は景品類に当たりませんが、紹介できる人を購入者に限ると通常は総付景品の上限がかかります。
  • 過去の購入者に限るなら、取引の価額は平均の客単価ではなく最も安い通常の取引で、2,000円なら上限400円です。
目次
  1. 4つの問いで、特典の区分を決める
  2. 紹介した人への特典は、購入者に限ると通常は総付景品になる
  3. 紹介された人への初回割引は、値引として扱える場合がある
  4. 抽選や紹介数の順位で決めるなら、懸賞の上限で考える
  5. 特典の形ごとの上限の計算例
  6. 海外の紹介プログラムの規約に見る、上限と取り消しの書き方
  7. 始める前に確認すること

紹介キャンペーンに景品表示法(景表法)の上限がかかるかは、特典を誰に・何で・どう渡すかで決まります。紹介した人への謝礼は、景品類に当たりません。ただし、紹介できる人を購入者に限ると、通常は総付景品の上限がかかります。紹介された人への初回割引は、値引として景品の上限の外に置ける場合があります。景品類に当たる特典を抽選で決めると懸賞の上限がかかり、紹介数の順位で決める形も懸賞に当たると考えられます。

この記事では、区分を決める4つの問いと、特典の形ごとの上限の計算例をまとめます。紹介できる人の決め方は紹介キャンペーンのやり方で、規則の要点はリファラルマーケティングの記事の法律の節で扱いました。

4つの問いで、特典の区分を決める

特典の区分は、次の4つの問いで決まります。問い1の答えで、進む道が分かれます。

  1. 誰に渡すか:紹介した人か、紹介された人か
  2. 紹介した人なら、紹介できる人を購入者に絞るか(規約で限るか、主に購入者に向けて案内するか):どちらでもなければ景品類に当たらない。規約で限れば景品類になる。主に購入者に向けて案内する形も、景品類と扱われる可能性がある
  3. 紹介された人なら、値引として扱えるか:扱えれば景品の上限の外。購入を条件にする特典で扱えなければ、景品類になる
  4. 景品類になったら、抽選や紹介数の順位で決めるか:抽選なら懸賞。紹介数の順位も懸賞と考えられる。どちらでもなければ総付景品。先着順も原則として総付景品だが、申込みの時点で受け取れるか分からない先着(ウェブでの申込み順など)は、懸賞とみなされることがある

分かれ目は、景品類の定義にあります。景品表示法は、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務(自社の商品・サービス)の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するものを、景品類としています(景品表示法 第2条第3項)。

景品類に当たる場合、上限を決める基準は「取引の価額」です。消費者庁のQ&A の Q59は、「取引の価額は、通常、景品類の提供を受けるために必要な取引のうち最低の金額となります。」としています。

総付景品の上限は、取引の価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引の価額の10分の2です(Q110)。

紹介した人への特典は、購入者に限ると通常は総付景品になる

消費者庁の「景品に関するQ&A」のQ31は、紹介した人への謝礼を扱っています。購入者を紹介してくれた人(紹介者)への謝礼は、景品類に当たりません。ただし、次の場合は扱いが変わります。

紹介者を自己の供給する商品又は役務の購入者に限定する場合には、取引に付随する提供となり、景品類に該当し、通常、総付景品の規制の対象となります。

規約で限っていなくても、紹介の案内を主に購入者に向けるなら注意が必要です。Q10は、取引を条件にしなくても、取引の相手方を主たる対象として行う提供は取引に付随するとしています。紹介リンクを購入後のマイページや注文確認メールにだけ置く形は、購入者に限る形に当たる可能性があります。購入者を主な対象にしたまま、購入者以外も紹介できる入口を形だけ併せて設けても、扱いは変わらないと考えられます。景品類等の指定の告示の運用基準の4(2)は、「取引に附随しない提供方法を併用していても同様である」としています。

取引の価額について、Q31は2つの例を挙げています。

  • 商品を買ったうえで紹介することが条件なら、その商品の価格(Q61参照)
  • 紹介者を過去の購入者に限るなら、告知のあとに起こり得る通常の取引のうち最も安いもの(Q10参照)

Q10には、「取引の価額は、景品企画を告知した後に発生し得る通常の取引のうち最低のものとなり、過去の購入額を取引の価額とすることはできません。」とあります。平均の客単価ではなく、最も安い通常の取引が基準です。

紹介した人数に応じて特典が増える段階型も、決まった人数に届いた人全員に渡すなら、抽選でも順位でもありません。Q109は、懸賞によらないで提供する景品類を総付景品としています。購入者に限るなら、総付景品の上限で考えられます。段階型や、1件ごとに特典を渡して人数を限らない形は、Q114 の合算の考え方に照らして、1人が受け取る特典の合計でも総付景品の上限に収まるかを確認しておきます。

同じ取引に、購入者向けの別の総付景品の企画も実施するなら、合わせた額で考えます。Q114は、「同一の事業者が、同一の取引に付随して2以上の景品類提供を行う場合は、別々の企画によるときであっても、これらを合算した額の景品類を提供したことになります。」としています。

紹介した人への特典を自社のポイントで渡す場合は、冒頭のリファラルマーケティングの記事の法律の節を参照してください。

紹介された人への初回割引は、値引として扱える場合がある

紹介された人への特典は、多くの場合、その人の初回の購入を条件にします。自社の代金を下げる形なら、値引として景品の上限の外に置ける場合があります。他社で使う値引券は値引に当たらず、景品類です(Q41)。

代金を割り引くことは Q37、支払いに充てる自社ポイントは Q39 が扱っています。どちらも、取引通念上妥当と認められる基準に従っていれば、値引として扱うとしています。Q39の答えは次のとおりです。

取引通念上妥当と認められる基準に従っているのであれば、正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益に該当し景品類に含まれず、景品規制の対象とはなりません

ただし、Q45は、次の場合を値引と認めていません。

  • 「対価の減額又は割戻しを懸賞により実施する場合」
  • 「減額し又は割り戻した金銭の使途を制限する場合」
  • 「同一の企画において景品類の提供と対価の減額又は割戻しを併せて行う場合」

紹介キャンペーンで気をつけたいのは3つ目です。Q48は、その例に物品と現金のキャッシュバックを選ばせる企画を挙げ、「いずれも景品類に該当し、総付景品の規制の対象となります」としています。

抽選や紹介数の順位で決めるなら、懸賞の上限で考える

景品類になる特典を抽選で決めると、総付景品ではなく懸賞になります。(関連記事:SNSキャンペーンと景品表示法|特典の上限がかかる形と、かからない形)消費者庁 Q&A の Q85は、くじなどの偶然性か、特定の行為の優劣・正誤で相手や額を決める方法を懸賞としています。紹介した数の多い順に特典を渡す形は、優劣で決める形に当たると考えられます。一方、先着順で渡す形は、Q109 で原則として総付景品とされています。ただし、ウェブでの申込み順のように、申し込む時点で受け取れるかが分からない形は、懸賞とみなされることがあります(Q112)。

一般懸賞の上限は、Q86で次のように示されています。

  • 景品類の最高額:取引の価額が5,000円未満なら取引の価額の20倍、5,000円以上なら10万円
  • 総額:懸賞に係る売上予定総額の2%

Q86 は、「最高額及び総額の両方の制限内で行わなければなりません」としています。

特典の形ごとの上限の計算例

オンラインのスキンケアショップを例に計算します。商品は2,000円のトライアルセットと4,000円の定番セットです。告知のあとに起こり得る通常の取引のうち最も安いものは、トライアルセットの2,000円とします。紹介された人の特典は、どちらかのセットの初回の購入を条件にします。

特典の形区分取引の価額上限
紹介した人に物品(過去の購入者に限る)総付景品2,000円400円
紹介された人に初回1,000円引き値引―景品の上限の外
紹介された人にキャッシュバックまたはポーチ総付景品2,000円400円
紹介した人から抽選で1名(過去の購入者に限る)一般懸賞2,000円最高4万円

1行目は、紹介できる人を過去の購入者に限る形です。4,000円のセットを買った人に限っても、取引の価額は最も安い通常の取引の2,000円になります(Q10)。

2行目は、初回の代金を1,000円下げる形です。取引通念上妥当と認められる基準に従っていれば、値引として扱えます(Q37)。3行目は、初回の購入のあとに1,000円のキャッシュバックとポーチのどちらかを選ばせる形です。Q48 により、どちらも景品類になります。特典を受けるのに必要な取引のうち最も安いものは2,000円のトライアルセットなので、上限は400円です。1,000円のキャッシュバックは上限を超えるので、この形では提供できません。

4行目は、取引の価額が5,000円未満なので、20倍の4万円が最高額です。総額も、懸賞に係る売上予定総額の2%に収めます。

海外の紹介プログラムの規約に見る、上限と取り消しの書き方

金融アプリの Revolut は、ニュージーランド向けの紹介の規約で、報酬の決まり方と取り消しの条件を細かく書いています(2026年10月時点)。

  • 国ごとの額:紹介された人が、紹介した人と別の国に住んでいる場合は、額が変わることがあります。ブラジルなら上限100ブラジルレアル、メキシコなら300メキシコペソです。
  • 人数の上限:紹介できる人数の上限をアプリの招待画面に示し、超えた分には報酬を支払いません。
  • 片方だけに渡す:報酬を受け取るのは紹介した人だけで、紹介された人は受け取らないと明記しています。
  • 取り消し:紹介された人が条件の手続きをあとで取り消すと、報酬を払わないか、払ったあとでも取り消すことがあります。口座を開いて14日以内の解約が、その例です。

人数の上限を規約に書いておくと、段階型で1人が受け取る特典の合計を先に計算でき、総付景品の上限と比べやすくなります。

始める前に確認すること

  1. 紹介できる人を誰にするかを、規約と案内の置き場所の両方で決める
  2. 告知のあとに起こり得る通常の取引のうち、最も安いものを書き出す
  3. 紹介された人への特典が値引に収まるかを確認する。抽選にしない、現金で返すなら使い道を限らない、同一の企画で景品類と併せて行わない(キャッシュバックか物品かを選ばせる形はその例)
  4. 紹介できる人を購入者に限る、または主に購入者に向けて案内するなら、段階型や人数を限らない形は、1人が受け取る特典の合計も総付景品の上限と比べる
  5. 景品類に当たる特典を、抽選や紹介数の順位、申込みの時点で受け取れるか分からない先着で決めるなら、懸賞の最高額と総額を計算する
  6. 同じ取引に付随する総付景品がほかにもあれば、合わせた額で上限と比べる。一般懸賞と総付景品は、それぞれの上限で別々に考える(Q96)
  7. 人数の上限と取り消しの条件を、規約と告知に書く(関連記事:紹介キャンペーンの企画書の書き方|テンプレートと、承認で聞かれる特典と費用)

まずは2の「最も安い通常の取引」を書き出してください。取引の価額が決まれば、景品類に当たる特典の上限が計算できます。

Jolt Me について Jolt Me は、友だち紹介プログラムの立ち上げから特典のお届けまでを自動化する、リファラルマーケティングプラットフォームです。紹介コードの発行、成果の計測、特典の配布、不正の検知までを管理画面ひとつで運用でき、EC・D2C、アプリ・SaaS、スクール、フィットネス・サロンなど幅広い業種で導入いただけます。

監修者

田中 悠

田中 悠

株式会社AREYO 代表取締役CEO

BtoC 向けのリファラルマーケティングプラットフォーム「Jolt Me」を通じて、紹介プログラムの戦略策定から導入までを多方面から支援。

紹介が属人化・形骸化しやすい構造に向き合い、お客様から自然と紹介が生まれる仕組みづくりに尽力。

<<主な略歴>>

キヤノン株式会社に新卒入社後、一眼レフカメラのグローバルマーケティングを担当。その後、株式会社プレイドに参画し、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネジメントを横断し、主にアパレル企業のCX向上を支援。2020年6月より株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、執行役員としてビジネス全体を統括。2025年4月株式会社AREYO創業。

愛媛県松山市出身。みかん好き。

Jolt Me サービス紹介資料

この資料でわかること

  • なぜいま「紹介」なのか
  • Jolt Me の仕組みと、できること
  • 業種別の活用例と、紹介プログラム設計のコツ
  • 料金プランと、導入の流れ

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