この記事の要点
- NPSとは、「友人や同僚に勧めたいか」を0〜10の11段階で聞いて算出する指標です。
- 推奨者(9〜10点)の割合から批判者(0〜6点)の割合を引いて計算し、値は−100から+100の間に収まります。
- 回答のお礼の画面で紹介の案内を全員に同じ形で表示し、翌月に点数ごとの紹介の数を確認します。
目次
NPSとは、「友人や同僚に勧めたいか」を0〜10の11段階で聞いて算出する指標です。推奨者(9〜10点)の割合から批判者(0〜6点)の割合を引いて計算します。点数は−100から+100の間に収まります。この記事では、計算のしかたとExcelの式、数字の読み方をまとめました。あわせて、回答のあとに紹介をお願いし、実際の紹介の数で答え合わせをするまでの流れも説明します。
NPSとは:「友人や同僚に勧めたいか」を0〜10で聞く指標

NPS は Net Promoter Score の略です。お客様の気持ちを、「人に勧めたいか」という1つの質問で測ります。
質問文は「〔ブランド名〕を友人や同僚に勧める可能性は、どれくらいありますか」です。0から10までの11段階から、1つを選んでもらいます。質問文と0〜10の尺度は、次の節で示す Qualtrics の解説に載っている形です。
満足していても、人に勧めるとは限りません。勧めるのは、自分の名前で相手に話すことだからです。NPS が聞いているのは、満足の一歩先にある「勧めたい」という気持ちです。そのため、紹介を増やしたいブランドと相性のよい指標です。
なお、Net Promoter®・NPS® は Bain & Company、NICE Systems、Fred Reichheld の登録商標です(Net Promoter System の公式サイトの表示による)。
NPSの計算方法:推奨者の割合から批判者の割合を引く

回答は、点数で3つに分けます。
| 点数 | 呼び方 | 計算での扱い |
|---|---|---|
| 9〜10点 | 推奨者 | この割合から引く |
| 7〜8点 | 中立者 | 引き算には使わない |
| 0〜6点 | 批判者 | 割合を引く |
NPS は「推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)」で算出します(Qualtrics の解説)。中立者は引き算には使いませんが、割合を算出するときの回答者の数に含まれます。
たとえば200人が答え、推奨者が90人、中立者が60人、批判者が50人だったとします。推奨者は45%、批判者は25%なので、NPS は45−25で+20です。全員が推奨者なら+100、全員が批判者なら−100になります。
Excelでの計算式
回答の点数をB列の2行目から201行目に入力した場合、次の式で算出できます。Googleスプレッドシートでも同じ式が使えます。
推奨者の割合:=COUNTIF(B2:B201,">=9")/COUNT(B2:B201)
批判者の割合:=COUNTIF(B2:B201,"<=6")/COUNT(B2:B201)
NPS:=(COUNTIF(B2:B201,">=9")-COUNTIF(B2:B201,"<=6"))/COUNT(B2:B201)*100COUNT は数値が入力されたセルだけを数えるので、空白のセルは回答者の数に含まれません。割合のセルは、表示形式をパーセントにします。回答の数が変わったら、「201」を最後の行の番号に合わせます。
NPSの目安の読み方:他社の平均より、自社の推移と回答数を見る

NPS は、他社の点数と比べるより、自社の点数の動きを見るほうが役に立ちます。他社の点数は、いつ・誰に・どの経路で聞いたかが分からないことが多く、条件をそろえて比べられないからです。
- 自社の推移:同じ質問を、同じタイミング(購入の◯日後など)・同じ経路で続けて聞き、前回より上がったか下がったかを見ます。聞き方を変えると、前回とは比べられません。
- 回答数:回答が少ないと、1人の答えで点数が大きく動きます。20人の回答なら、1人が推奨者から批判者に変わるだけで NPS は10下がります。200人なら1です。
- 推奨者と批判者の割合:同じ+20でも、推奨者45%・批判者25%と、推奨者20%・批判者0%では打つ手が違います。紹介を増やしたいなら、推奨者の人数が材料になります。
オンラインでの聞き方:体験の直後に、いつもの連絡経路で聞く

NPS の質問は、お客様が「人に話したい」と感じる瞬間の直後に、ふだん連絡している経路で送ります。商品が届いたあと、初回の利用が終わったあとなどです。口コミマーケティングの記事では、この瞬間を「体験の山」と呼び、その直後に感想をお願いするとしています。
| 経路 | 向いているサービス |
|---|---|
| 購入後のメール | EC・定期通販 |
| アプリ内の表示 | アプリ |
| マイページ | 会員制のサービス・スクール |
| LINE 公式アカウント | 予約制のサロン・フィットネス |
送る相手は、購入や利用をした人全員にそろえます。点数が高そうな人だけに送ると、NPS は実際より高く算出されます。
質問は2問にすると扱いやすくなります。1問目が0〜10の点数、2問目が「その点数を付けた理由」の自由記述です。
あとで点数と紹介の記録を突き合わせるなら、誰が何点と回答したかが分かる形で残しておきます。その場合は、回答を紹介の効果の確認にも使うことを、アンケートの案内に書いておきます。プライバシーポリシーの利用目的に含まれているかも確認します。
推奨者を紹介につなげる4つの手順

推奨者は「勧めたい」と答えた人です。その気持ちを紹介に変えやすくするために、回答したその場で紹介の方法を案内します。
紹介の案内は、点数にかかわらず全員に同じものを表示します。高い点を付けた人にだけ案内を表示すると、案内目当ての点数が混ざり、NPS が体験を映さなくなるからです。推奨者が実際に動いたかは、点数ごとに紹介リンク・コードを使った人の割合を比べれば分かります(後の節)。
- 回答のお礼を伝える:点数にかかわらず、全員に同じお礼の言葉を表示します。
- 紹介リンク・コードを渡す:お礼の画面で、紹介リンク・コードを案内します。その場で渡せば、あとで改めて連絡する必要がありません。
- 特典の条件を示す:誰に、何を、どこまで進んだら渡すかを書きます。決め方は紹介キャンペーンのやり方のステップ2・3にまとめています。特典にかけられる金額の計算式は、リファラルマーケティングの記事にあります。
- 成果を記録する:紹介リンク・コードで、誰の紹介で誰が申し込んだかを記録します。(関連記事:紹介コードとは?仕組みと、入力漏れを防ぐ申し込みフォームの作り方)
中立者と批判者の回答は、2問目の理由を読み、商品や案内を直す材料にします。
海外の例:Peloton と FIGS は上場の書類で NPS を示した



米国では、上場のときに提出する書類で NPS を示す会社があります。
フィットネスの Peloton(米国)は、2019年8月に米国の証券取引委員会(SEC)へ上場の書類(Form S-1)を提出しました。その中で、バイクの NPS は2016年に測り始めてから80〜93の範囲にあると書いています。
FIGS(米国)は、医療従事者向けのスクラブ(医療用の作業着)を売る会社です。こちらも2021年5月に提出した Form S-1 で、NPS が+81だと示しています。2021年1〜3月に、購入の10日後にメールで自動で送った質問への、約1万1,500人の回答から算出した数字です。
どちらも、お客様の「勧めたい」という気持ちを、投資家に示す数字として使った例です。口コミマーケティングの記事では、眼鏡の Warby Parker の例も紹介しています。
NPSだけでは足りない:紹介の数字で答え合わせをする

NPS が示すのは「勧めたい」という気持ちで、実際に勧めたかどうかではありません。推奨者が増えても、紹介で来るお客様が増えていなければ、どこかの段階で停滞しています。(関連記事:バイラル係数(Kファクター)とは?計算式と、紹介でお客様が増える力の読み方)推奨者が紹介リンク・コードを使ったか、使用された紹介が申し込みになったかを分けて見ます。
「Net Promoter 3.0」は、NPS を考案した Fred Reichheld らの記事で、Bain & Company のサイトに載っています。その中で紹介しているのが、Earned Growth という指標です。アンケートではなく、監査を受けた売上の数字に基づく指標で、NPS と対になるものと位置づけています。
自社では、次の数字を並べて見ます。
| 見る数字 | 分かること |
|---|---|
| 推奨者の人数 | 勧めたい人の多さ |
| 推奨者のうち、紹介リンク・コードを使った人数 | 推奨者が動いたか |
| 紹介経由の新しいお客様の数 | 申し込みになったか |
| 紹介経由のお客様の売上 | 紹介が生んだ売上 |
ここでの「使った」は、推奨者が紹介リンク・コードを知り合いに送ったことを指します。
点数ごとに、紹介リンク・コードを使った人の割合を比べます。推奨者が多いのに紹介リンク・コードが使用されていなければ、手順2の渡し方または手順3の特典の条件を見直します。紹介の流れを数える考え方は、リファラルマーケティングの記事の「効果の測り方」にもまとめています。
注意点:お礼・特典・口コミのお願いの決まり

調査のお礼は言葉にとどめ、紹介の特典とは別のものとして扱います。
- 紹介の特典は、紹介の成果に対して渡す:「高い点を付けたこと」ではなく、「紹介された人が申し込んだこと」などを条件にします。
- 特典の額は、景品表示法を確認してから決める:アンケートを購入者(買ったことがある人)に送り、紹介リンク・コードを回答者にしか渡さないなら、紹介できる人を購入者に限っているのと同じと考えられます。消費者庁の景品に関する Q&A の Q31 によると、紹介者を購入者に限定する場合は、紹介した人への謝礼が景品類に当たります。この場合、通常は総付景品の規制の対象になります。過去の購入者に限る場合、上限の基準になる取引の価額は「この企画を告知した後に発生し得る通常の取引のうち最低のもの」とされています。額は、リファラルマーケティングの記事の「始める前に確認したい法律」で確認してから決めます。
- 口コミの投稿も依頼するときは、点数で相手を選ばず、評価や書く内容も指定しない:Google のクチコミのポリシーは、クチコミの投稿と引き換えに割引や特典などを渡すことと、肯定的なクチコミを選択的に募ることを禁じています。Google のクチコミのお願いには紹介の特典を結びつけず、紹介の案内とは分けて送ります。(関連記事:Googleの口コミを増やす方法|お願いの仕方と、やってはいけないこと)あわせて、口コミマーケティングの記事の「見返りを提供してお願いするときの注意」で、ステマ規制と投稿先の規約を先に確認します。
NPS は、測るだけでは紹介につながりません。次の調査では、回答のお礼の画面に紹介の案内を1つ置き、翌月に点数ごとの紹介の数で答え合わせをしてみてください。
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