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リファラルマーケティングとは?紹介の5つの型・事例・特典の決め方

リファラルマーケティングとは、今のお客様に知り合いを紹介してもらい、新しいお客様を迎えるマーケティングです。紹介の5つの型と、国内6つのサービスの紹介の仕組みの整理、特典にかけられる金額の計算式、景品表示法とステマ規制の注意点、効果の測り方をまとめました。

田中 悠 公開  更新

この記事の要点

  • リファラルマーケティングとは、今のお客様に家族や友人を紹介してもらい、新しいお客様を迎えるマーケティングです。
  • 始めるときは、紹介の型、特典にかけられる金額、紹介を記録する場所の3つを決めます。
  • 特典の上限は粗利と継続期間から逆算し、月額3,000円・粗利率50%・10か月継続の例では4,500円までが目安です。
目次
  1. リファラルマーケティングとは
  2. 紹介の5つの型
  3. 国内サービスの紹介の仕組み
  4. 特典にかけられる金額
  5. 始める前に確認したい法律
  6. 効果の測り方
  7. おわりに

リファラルマーケティングとは、今のお客様に家族や友人を紹介してもらい、新しいお客様を迎えるマーケティングです。始めるときに決めることは3つあります。「どの型で紹介してもらうか」「特典にいくらまでかけられるか」「紹介をどこで記録するか」です。

この記事では、この3つを決めるための材料をそろえました。紹介の5つの型、国内6社の紹介の仕組み、特典の上限の計算式、関係する法律、効果の測り方です。

紹介の仕組みは、決済アプリや携帯電話、フリマアプリ、カーシェアなど、身近なサービスの多くにあります。それでも自社で始めようとすると、特典の額や渡し方、どこまでを紹介として数えるかで判断に迷いがちです。(関連記事:紹介キャンペーンのやり方|企画から告知・計測までの7ステップ)EC や定期通販、アプリ、会員制のサービスでお客様との関係を担当している方に向けて書いています。

リファラルマーケティングとは

リファラルマーケティングは、お客様が知り合いに勧めることで、新しいお客様が生まれる仕組みです。リファラル(referral)は英語で「紹介」という意味です。

なお、採用の場面でいう「リファラル採用」は、社員が知人を採用の候補者として紹介する方法です。紹介する人も、紹介される相手も、目的も違うので、この記事の話とは別のものです。

紹介した人・紹介された人・ブランドの3者

リファラルマーケティングには、「紹介した人」「紹介された人」「ブランド」の3者が関わります。

紹介した人は、すでにサービスを使っているお客様です。紹介された人は、その知り合いで、まだサービスを使っていない人です。ブランドは、紹介しやすい場を用意し、紹介を記録し、条件を満たしたら特典を渡します。

ブランドが直接動かせるのは、紹介の場と記録と特典だけです。紹介するかどうか、誰に声をかけるかは、紹介した人が決めます。

口コミ・UGC・アフィリエイトとの違い

口コミ・UGC・アフィリエイトと比べて、リファラルマーケティングがいちばん違うのは、「顔の分かる知り合い」に届くことです。口コミ、UGC(お客様が SNS などに投稿する感想や写真)、アフィリエイトと並べると、違いが分かります。

口コミUGCアフィリエイトリファラルマーケティング
誰が伝えるか使った人使った人ブログや SNS の運営者(使った人とは限らない)今のお客様
誰に届くか身近な人や、レビューを読む不特定の人SNS のフォロワーなど不特定の人記事や投稿を見た不特定の人紹介した人の知り合い
何を伝えるか使った感想使っている様子や感想商品の説明とリンク使った感想と、始め方(コードやリンク)
見返り基本はない基本はない成果に応じた支払いがある特典を用意することが多い
ブランドが関われる範囲ほぼ関われない投稿のお願いや紹介まで条件や支払いを決められる特典・条件・記録の仕方まで設計できる

口コミや UGC、アフィリエイトは、多くの場合「不特定の人」に向けて発信されます。リファラルマーケティングは、紹介した人が顔を思い浮かべられる相手に、1対1に近い形で届きます。届く数は少なくても、受け取る側は知り合いから直接話を聞いてから、始めるかどうかを決められます。

もう1つの違いは、ブランドが決められる範囲です。口コミはお客様の自由な行動なので、ブランドは関与できません。リファラルマーケティングでは、特典や条件、記録の方法をブランドが決めます。

そのぶん、特典の額や見せ方には法律の決まりがかかります。SNS への紹介の投稿をお願いする場合は、UGC とも重なります。

紹介の5つの型

紹介の仕組みは、特典を「誰に・何で・どう渡すか」で5つの型に分けられます。

型仕組み向いているサービス参考になる例
① 双方向特典型紹介した人と紹介された人の両方に特典を渡す(片方だけに渡す形も含む)初回の利用で価値が伝わるサービス国内のサービス(次の節の表)
② 自社価値型特典を、自社のサービスの中で使えるもので渡す継続課金のサービス、ポイントを貯めて使うサービスDropbox(米国)の容量
③ 段階型紹介した人数に応じて特典が上がる熱心なファンがいるサービスRobinhood(米国)
④ 招待制型サービスの入口を招待や順番待ちで絞る立ち上げ期のサービス、数を絞って始めたいサービスMonzo(英国)
⑤ 抽選型特典の中身や当選が抽選で決まる遊びの要素があるアプリ

型ごとの特典の中身(かっこ内)と、気をつける点です。

  • ① 双方向特典型(ポイント・割引・現金に近いもの):紹介した人を自社のお客様に限ると、景品表示法の総付景品の規制の対象になり得る。
  • ② 自社価値型(自社のポイント・容量・無料期間):原価が見えにくいので、費用を計算しておく。紹介した人をお客様に限る場合は、景品の規制での扱いも確認する。
  • ③ 段階型(人数ごとに増える特典):上限の設計と、特典目当ての紹介が増えること。紹介した人を購入者に限るなら、段階ごとの特典も景品の上限内か確認する。景品類に当たる特典を順位で決めると、懸賞に当たると考えられる。紹介の紹介にまで報酬を支払う多段の形は採らない。
  • ④ 招待制型(使い始められる権利):待たせすぎると離れていく。
  • ⑤ 抽選型(抽選で決まる賞品):日本では懸賞の規制の対象になり得る。

① は「誰に渡すか」、② は「何で渡すか」の型なので、重ねて使えます。次の節の国内のサービスも、多くが ① と ② を重ねた形です。

型の選び方

どの型が合うかは、サービスの単価、使う頻度、使い始めてすぐに良さが伝わるかで変わります。

  1. ① 双方向特典型: 紹介された人も得をするので、紹介した人は「自分だけ得をする」という後ろめたさを感じにくくなります。初回の利用で良さが伝わるサービスに向きます。
  2. ② 自社価値型: 特典を使うにはサービスを使い続ける必要があるので、紹介した人の継続にもつながります。
  3. ③ 段階型: 熱心なお客様に、2人目、3人目と紹介を続けてもらうための型です。
  4. ④ 招待制型: 招待がないとすぐには使えないので、招待そのものが特典になります。
  5. ⑤ 抽選型: 紹介の結果を楽しみにしてもらう型です。ただし、日本では景品表示法の懸賞の規制の対象になり得ます。

① は、良さが伝わるまで時間がかかるサービスだと、特典だけ受け取って離れる人が増えやすくなります。初回の利用で良さが伝わるなら、特典をきっかけに試した人が、そのまま使い続けてくれます。

② の例として、Dropbox は、紹介した人と紹介された人の双方に保存容量が追加される仕組みを公式ヘルプで案内しています。定期通販の「次回分の割引」や、アプリの「有料機能の無料期間」も同じ型です。費用を少なく見積もりやすい点に気をつけます。

③ の例は、米国の Robinhood です。紹介した人数に応じて特典が上がる仕組みを公式サイトで案内していて、年間の上限もあります(金融サービスのため、ここでは仕組みの説明だけにします。利用を勧めるものではありません)。特典目当ての紹介が増えたときの停止の方法と上限を、先に決めておきます。

④ の例は、英国の銀行アプリ Monzo です。2016年3月に導入した順番待ちのリストを2018年5月24日に廃止し、招待の仕組みは残したと公式ブログで発表しています。待つ人が増えると、その間にほかのサービスへ移る人も現れます。

単価で見ると、1回の申し込みで得られる粗利が大きいサービスほど、① の特典を厚くできます。単価が低く、毎月の利用が積み上がるサービスなら、② で自社のサービスを特典にするほうが、費用も継続も組み立てやすくなります。③ と ④ が合うかは、すでに熱心なお客様がいるかどうかで向き不向きが分かれます。

国内サービスの紹介の仕組み

国内の6社を見ると、どれも両方または片方に特典を渡す ① の型で、多くは自社のポイントで渡しています。各社の公式サイトで確認できた内容を並べました。

サービス型紹介した人の特典紹介された人の特典
PayPay(友だち紹介特典)①+②1人につき300ポイント(特典の対象は月10人・3,000ポイントまで)最大300ポイント(1回のみ)
楽天モバイル①+②7,000ポイント(2026年9月17日以降のお申し込み分。紹介した人数の上限なし)乗り換えは13,000ポイント、それ以外は12,000ポイント(1人1回線)
メルカリ(招待ポイント)①+②500円分のポイント500円分のポイント
タイムズカー(お友達紹介)①+②カーシェアeチケット+30カーシェアポイントカーシェアeチケット
エポスカード①+②1名につき1,000ポイント(2026年10月1日〜2027年3月31日の紹介では、特典の対象は4名・4,000ポイントまで)500ポイント+通常の新規入会特典
ワイモバイル(ワイモバ紹介キャンペーン)①(片方だけに渡す形)2026年8月7日以降の申し込みは5,000円相当の PayPay ポイント(同じ日にデータ増量オプションの申し込みが必要)―(提供条件書に記載なし)

付与の条件・上限などは次のとおりです。

  • PayPay:紹介された人が登録後60日以内に紹介コードを登録し、1回1,000円以上を決済。付与は条件を満たした翌日から30日後。紹介した人は本人確認済みであること。終了日未定の定常特典
  • 楽天モバイル:楽天ポイントを分割して進呈。期間限定ポイント。Rakuten Link アプリでの通話などの条件あり
  • メルカリ:招待コードを入力できるのは会員登録の途中だけ。条件と引き換えに入力を促す行為は控えるよう案内
  • タイムズカー:入会の翌月に、双方が有効な個人会員であること。何名でも紹介できる
  • ワイモバイル:紹介した人が専用フォームで紹介された人の番号を入力。紹介した人のメールアドレス単位で月4回まで。7か月目に付与(ワイモバイル「ワイモバ紹介キャンペーン 提供条件書」より)

※2026年10月時点の公開情報をもとに編集部が整理。各社とは関係ありません。

条件は変わることがあるため、最新の内容は各社の公式サイトでご確認ください。

表から分かる設計の違い

表から特に分かるのは、特典を渡す時期と、人数の上限の違いです。

  1. 特典を渡す時期: 申し込んだ直後ではなく、使い始めたことや続けていることを確認してから渡す例が目立ちます。
  2. 人数の上限: 特典の対象になる人数に上限を設ける例と、設けない例があります。

時期でいえば、PayPay は1,000円以上の決済などの条件を満たした翌日から30日後です。ワイモバイルは7か月目です。タイムズカーは、入会の翌月に双方が会員であることが条件です。

上限でいえば、PayPay は月10人、エポスカードは期間内で4名までです。ワイモバイルは、紹介した人のメールアドレス単位で月4回までです。一方、楽天モバイルは紹介した人数の上限なし、タイムズカーは何名でも紹介できると案内しています。

特典にかけられる金額

特典の上限は、他社の額ではなく、自社の粗利とお客様が続く期間から逆算して決めます。粗利の大きさも、お客様が続く期間もサービスごとに違うので、他社の額をまねても自社に合うとは限らないからです。

計算式

1人の新しいお客様を迎えるのに使ってよい金額を算出し、特典の費用がそれを超えないようにします。

  1. 許容できる獲得コスト: 1人あたりの月の粗利 × 平均の継続月数 × 獲得に回せる割合
  2. 1人あたりの特典の費用: 紹介した人への特典 + 紹介された人への特典 + 1件あたりの運用の手間
  3. 判断の基準: 1人あたりの特典の費用が、許容できる獲得コストを超えないこと

「獲得に回せる割合」は、1人のお客様が続けている間に生む粗利のうち、迎えるために先に使ってよい割合です。広告で新しいお客様を迎えるときと同じ考え方にしておくと、広告と比べやすくなります。

式に数字を当てはめるときは、次の点に気をつけます。

  1. 自社のサービスで渡す特典も費用に含める: ポイントや無料期間は、外部への支払いが発生しないので、無料のように見えます。実際は、使用されたときに減る売上や、商品を届ける原価がかかります。
  2. 特典だけ受け取って離れる人を見込む: すぐに解約する人が多いと、平均の継続月数は短くなります。決済や継続を確認してから特典を渡せば、式の前提が崩れにくくなります。
  3. 紹介がなくても申し込んでいた人を見込む: 紹介で本当に増えたお客様は、紹介の件数より少なくなります。上限には余裕を持たせます。

計算例:月額3,000円の定期便

コーヒー豆の定期便を例に計算してみます。

項目値計算
月額3,000円
粗利率50%
1人あたりの月の粗利1,500円3,000円 × 50%
平均の継続月数10か月
1人が続けている間の粗利15,000円1,500円 × 10か月
獲得に回せる割合30%
許容できる獲得コスト4,500円15,000円 × 30%

この場合、1人あたりの特典の費用は4,500円までが目安です。たとえば、紹介された人に初回1,500円引き、紹介した人に次回の支払いに使える500円分の自社ポイントを渡すと、特典の合計は2,000円です。残りの2,500円は、紹介の案内や特典を渡す手間と、紹介がなくても申し込んでいた人の分の余裕に回ります。

始める前に確認したい法律

紹介の特典には景品表示法が、紹介した人の SNS 投稿にはステマ規制が関係します。(関連記事:紹介キャンペーンと景表法|特典の上限を4つの問いで判断する)ここでは消費者庁の公開資料に書かれている範囲で要点をまとめます。法律相談に代わるものではありません。

特に、紹介できる人をお客様に限って上限を超える特典を提供する場合や、抽選・順位で特典を決める場合は、始める前に消費者庁の相談窓口または弁護士に確認してください。業種によっては、業種別の景品の告示や公正競争規約、金融・通信などの別の法令もかかります。

景品表示法:紹介できる人をお客様に限るかどうか

紹介できる人を自社のお客様に限ると、紹介した人への謝礼は「景品」として扱われます。この場合、通常は上限がかかります(自社の支払いに使うポイントなどは扱いが変わることがあります。後述)。消費者庁は「景品に関するQ&A」の Q31で次のように説明しています。

自己の供給する商品又は役務の購入者を紹介してくれた人(紹介者)に対する謝礼は、取引に付随する提供に当たらず、景品類には該当しません。ただし、紹介者を自己の供給する商品又は役務の購入者に限定する場合には、取引に付随する提供となり、景品類に該当し、通常、総付景品の規制の対象となります。

身近な言い方に置き換えてみます。「どなたでも、お客様を紹介してくれたら謝礼」という形と、「当社で購入したことのある方(購入者)が紹介してくれたら謝礼」という形では、扱いが分かれます。前者は景品に当たらず、後者は景品に当たり、通常は総付景品の上限がかかる、というのが Q31 の説明です。

紹介コードを購入者(有料の会員)の画面でしか発行しないなら、紹介できる人を購入者に限っているのと同じと考えられます。

形の上では誰でも紹介できるとしていても、実際には取引の相手を主な対象にしている場合があります。その場合は、取引に付随するとされます(景品類等の指定の告示の運用基準 4(2)、Q&A の Q9)。この記事で考える例としては、お客様以外が紹介コードを受け取る方法がほとんど知らされていない場合です。

運用基準は、取引に付随しない方法を併用していても同じだとしています。会員以外の入口を形だけ設けても、上限を免れる理由にはならないと考えられます。なお、Q&A の Q15 は、無料の会員登録を求めるだけなら、通常それだけでは取引に付随しないとしています(懸賞の事例です)。ただし、購入につながりやすい事情があれば、付随するとされます。

お客様に限る場合、上限を考える基準になる「取引の価額」は、同じ Q31 で2つに分けて説明されています。商品を買ったうえで誰かを紹介することが条件なら、その商品の価格です(Q61参照)。紹介した人を過去に購入した人に限るなら、「この企画を告知した後に発生し得る通常の取引のうち最低のものになります」(Q10参照)。

平均の客単価ではなく、いちばん安い通常の取引が基準になる点に気をつけます。

総付景品の上限は、消費者庁の景品規制の概要で、取引の価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引の価額の10分の2と示されています。

前の節の計算例に当てはめてみます。紹介できる人を今の定期便の会員に限る形は、過去に購入した人に限る場合として考えます。定期便のほかにお試し袋のような安い商品を売っていなければ、いちばん安い通常の取引は月額3,000円の1回分と考えられます。

上限は、3,000円 × 10分の2 で600円です。計算例で紹介した人に渡す500円分の自社ポイントは、会員に限った場合でも、この上限の内側に収まります。紹介された人への初回1,500円引きは、その人自身の代金を下げる値引に当たると考えられるので、景品の上限とは別に考えます(後述)。

600円を超える額を、次回の支払いに使える自社のポイントや割引券で提供したいときは、扱いが変わることがあります。総付景品の告示の第2項第3号は、自社の取引で使う割引券などの証票を扱っています。正常な商慣習に照らして適当と認められるものには、総付景品の上限を適用しないとしています(Q&A の Q116と、「景品類ではないもの」の Q49 も参照)。

ただし、ポイントを物品などの景品とも交換できるようにすると、景品と交換する分は総付景品の上限の対象になります(Q49。物品とキャッシュバックを選ばせる場合は Q48)。

紹介した人へのお礼がこの割引券などに当たるかは、Q&A に直接の記載がありません。当てはまったとしても、運用基準は割引の程度や業界の実態を見て判断します(総付運用基準 4(1))。会員に限ったまま600円を超える特典を提供するなら、この節の冒頭のとおり、始める前に相談窓口または弁護士に確認してください。

告示の第1項は、総付景品の価額を、上限の範囲内で、さらに正常な商慣習に照らして適当と認められる限度を超えないものとしています。600円は天井で、そこまでなら問題ないと保証する額ではありません。

ほかの景品と合わせて考える必要もあります。総付景品の運用基準は、同じ事業者が同じ取引に付随して行う景品の提供は、別々の企画でも合算するとしています。紹介の特典と同じ取引に、ほかの景品も提供しているなら、合わせた額で考えます(総付景品の運用基準)。

紹介した人への特典は、次のような形から選べます。

  • 自社の支払いに使えるポイントにする(物品や特定の商品の引換券と交換できない形で、割引の程度を適当な範囲に収める)
  • 現金や物品にして、上限の範囲に収める
  • 紹介できる人をお客様に限らない形にする(形だけでなく、お客様以外も実際に紹介に参加できる仕組みと実態が必要)

お金の面だけで決めた特典が、法律の面ではそのまま使えないこともあるので、両方を並べて決めます。

紹介された人に渡す特典は、その人自身の申し込みに付随するものです。自社の商品・サービスの代金を下げる形(初回の値引や、自社で使える割引)なら、値引として景品の規制の対象外になりえます(Q37・Q39・Q40)。

一方、次の場合は値引と認められず、景品の上限がかかります(Q41・Q45・Q46・Q48)。物品や他社のポイント・ギフト券で渡す場合、値引と景品を選ばせる場合、抽選で渡す場合です。ただし、自社と他社で同じ額の割引に使えるポイントで、正常な商慣習に照らして適当なものは、総付景品の規制が適用されない場合があります(Q124)。

ここからは、特典が景品類に当たる場合の話です(紹介できる人を購入者に限る場合や、紹介された人に物品や他社のギフト券を渡す場合など)。抽選で特典を決めると、懸賞になります。紹介数の順位のような優劣で決める形も、懸賞に当たると考えられます。

上限は、1人あたり取引の価額の20倍(10万円まで)、総額は懸賞に関わる売上予定総額の2%です(懸賞の告示、Q&A の Q86)。異なる種類の絵柄などをそろえさせる「カード合わせ」は禁止されています。

紹介制度を告知するページや広告も、景品表示法の表示の規制を受けます。付与の条件・時期・ポイントの有効期限・人数の上限を分かりにくくして、特典の額だけを目立たせるのは避けます。実際より著しく有利だと誤解させる表示(有利誤認)になるおそれがあります。条件は、特典の額の近くに書いておきます。

ステマ規制:SNS への投稿をお願いするとき

紹介した人に SNS への投稿をお願いし、その見返りに特典を渡すなら、ステマ規制を確認しておきます。2023年10月1日から、いわゆるステマ規制が施行されています。根拠は令和5年内閣府告示第19号で、事業者の表示であることを一般消費者が判別することが困難である表示を、不当な表示として指定しています。

どんな場合が事業者の表示に当たるかは、2023年3月28日に消費者庁長官が決定した運用基準に示されています。運用基準は、事業者が第三者に、SNS や口コミサイトなどで自社の商品やサービスについて表示させる場合を、事業者の表示の例に挙げています(第2・1(2)ア)。

事業者が投稿の見返りに渡すもの(対価)には、金銭や物品に限らず、イベントへの招待などの経済上の利益を含め、対価性のあるもの一切が含まれるとしています。

消費者庁の Q&A は、次の場合を、通常は事業者の表示に当たらないとしています(ステルスマーケティングに関する Q&A の Q6・Q7)。内容を指定せず、割引程度の見返りで投稿してもらう場合です。

一方、投稿の内容を指定する場合は、事業者の表示に当たると考えられるとしています(Q6)。評価や、勧めるコメントを書くことを条件にする場合も同じです。個別に依頼して報酬を渡す場合は、当たる可能性が高いとしています(Q19)。

紹介制度で、ブランドが用意した共有文を使い、紹介が成立すると謝礼が支払われる投稿があります。こうした投稿は、アフィリエイトと同じく事業者の表示とされるおそれがあります(運用基準 第2・1(2)ア(ウ))。

共有文には「PR」を記載します。それに加えて、「〇〇の紹介制度で、紹介すると私にも特典があります」など、ブランドとの関係が分かる一文を最初から記載しておくのが安全側です。

表示の責任を負うのは、投稿した人ではなくブランドです(同 Q1)。

運用基準は、「広告」や「PR」といった言葉で、事業者の表示であることが明瞭になる例を挙げています。ただし、こうした言葉を使っていても、表示全体から明瞭と認められない場合もあります。

紹介した人の投稿が事業者の表示に当たるかどうかは、ブランドとのやり取りや依頼の有無、対価の有無、関係が続いているかなどから、個別に判断されます。SNS への投稿をお願いする場合は、運用基準の原文を確認したうえで、表示の仕方を決めておきます。

効果の測り方

紹介は「共有→訪問→申し込み→定着」の4つのフェーズに分けて数えると、どの段階で停滞しているかが分かります。人と人の間で起きるので、記録の仕方を決めておかないと、途中の様子が見えなくなります。

共有から定着までの4つのフェーズ

フェーズ数えるもの数字が伸びないときに見直すところ
共有紹介コードや紹介リンクを知り合いに送った人の数紹介の仕組みを知っているか、案内の場所と時期、送る手間
訪問紹介リンクから訪れた人の数送られる文面、リンク先のページの分かりやすさ
申し込み紹介をきっかけに申し込んだ人の数紹介された人への特典、申し込みの手順、コードの入力欄の見つけやすさ
定着特典の条件を満たし、使い続けている人の数使い始めの体験、特典を渡す時期と条件

フェーズとフェーズの間の割合も見ます。今のお客様のうち共有した人の割合が低ければ、特典の額を上げる前に、紹介の仕組みがお客様に知られているかを確認します。申し込みは多いのに定着が少なければ、特典だけが目当ての申し込みが混ざっていないかを疑います。

4つ目のフェーズの定着は、計算式の「平均の継続月数」につながる数字です。紹介で来たお客様がどれくらい続いているかが分かれば、特典の上限を自社の実際の数字で見直せます。

紹介を記録する方法

オンラインで紹介を記録する方法は、主に紹介コード、紹介リンク、申し込みフォームの3つです。

  1. 紹介コード: 紹介した人ごとに決まった文字列を発行し、紹介された人に申し込みのときに入力してもらいます。
  2. 紹介リンク: 紹介コードを含んだ URL を発行し、そこから訪れた人を紹介として数えます。
  3. 申し込みフォーム: フォームに紹介コードの欄を設けたり、紹介した人が専用のフォームから紹介された人の情報を送ったりします。

紹介コードはメッセージでも伝えやすい一方、入力漏れや入力ミスがあると記録が残りません。(関連記事:紹介コードとは?仕組みと、入力漏れを防ぐ申し込みフォームの作り方)コードを入力できる場面を会員登録の途中などに限る設計もあります。入力する場所と時期を明確にしておくと、迷わせずにすみます。

紹介リンクなら、紹介された人は入力の手間がかかりません。ただし、リンクを開いたスマートフォンと申し込むパソコンが違う場合などは、記録が途切れることがあります。

申し込みフォームでは、申し込みのメールアドレスと結び付けておくと、あとから照らし合わせやすくなります。

実際には、紹介リンクで訪れた人に、フォームでも紹介コードを確認するといった組み合わせがよく使われます。外部の予約サイトやメッセージアプリの中だけで申し込みが終わる場合は、自社では紹介を記録しにくくなります。そうした申し込みを手作業で記録するかどうかも、始める前に決めておきます。

紹介した人から、紹介された人の名前や連絡先を受け取る場合は、個人情報保護法への対応も必要です。受け取った情報を何に使うかをプライバシーポリシーなどで公表し、紹介された人本人にも分かるようにします。

「お友だちが申し込みました」のように、申し込みの状況を紹介した人に知らせる場合があります。これは紹介された人の個人情報を第三者に提供することになりえるため、申し込みの時点で本人の同意を取っておきます。

受け取ったメールアドレスや電話番号に、ブランドから案内のメールや SMS を送る場合は、特定電子メール法の対象になります。原則として、受け取る人本人の事前の同意が必要です。

紹介した人が宛先を入力し、自社のシステムから招待メールを送る機能も、同じ扱いになりえます。紹介した人が自分のメッセージアプリやメールでコードを送る形にすれば、ブランドが同意のない相手に送らずにすみます。

おわりに

リファラルマーケティングは、今のお客様の言葉を借りて、新しいお客様を迎える方法です。まず自社に合う型を選び、粗利と継続期間と法律の上限から特典の額を決めてください。そのうえで、紹介を記録する場所を決めておきます。これが決まっていれば、始めたあとは4つのフェーズの数字を見ながら、少しずつ形を直していけます。

Jolt Me について Jolt Me は、友だち紹介プログラムの立ち上げから特典のお届けまでを自動化する、リファラルマーケティングプラットフォームです。紹介コードの発行、成果の計測、特典の配布、不正の検知までを管理画面ひとつで運用でき、EC・D2C、アプリ・SaaS、スクール、フィットネス・サロンなど幅広い業種で導入いただけます。

監修者

田中 悠

田中 悠

株式会社AREYO 代表取締役CEO

BtoC 向けのリファラルマーケティングプラットフォーム「Jolt Me」を通じて、紹介プログラムの戦略策定から導入までを多方面から支援。

紹介が属人化・形骸化しやすい構造に向き合い、お客様から自然と紹介が生まれる仕組みづくりに尽力。

<<主な略歴>>

キヤノン株式会社に新卒入社後、一眼レフカメラのグローバルマーケティングを担当。その後、株式会社プレイドに参画し、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネジメントを横断し、主にアパレル企業のCX向上を支援。2020年6月より株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、執行役員としてビジネス全体を統括。2025年4月株式会社AREYO創業。

愛媛県松山市出身。みかん好き。

Jolt Me サービス紹介資料

この資料でわかること

  • なぜいま「紹介」なのか
  • Jolt Me の仕組みと、できること
  • 業種別の活用例と、紹介プログラム設計のコツ
  • 料金プランと、導入の流れ

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