この記事の要点
- バイラル係数(Kファクター)とは、1人のお客様が紹介で連れてくる新しいお客様の平均人数です。
- 係数を「紹介した人の割合×1人あたりの紹介数×紹介された人が始める割合」に分けると、どの数が低いかが分かります。
- 1を超えなくても意味があり、紹介が同じ割合で続く試算では、係数0.12でも1人あたりの広告費が1割あまり下がります。
目次
バイラル係数(Kファクター)とは、1人のお客様が紹介で連れてくる新しいお客様の平均人数です。計算は「紹介で始めた人の数÷もとのお客様の数」です。紹介した人の割合・1人あたりの紹介数・紹介された人が始める割合の掛け算に分けられます。1を超えなくても、広告で迎えたお客様が紹介でどれだけ増えるかを表す数として使えます。
バイラル係数とは:1人のお客様が連れてくる新しいお客様の平均人数

バイラル係数は、紹介や招待でお客様がどれだけ増えるかを1つの数で表す指標です。英語では K-factor(Kファクター)とも呼ばれます。疫学(感染症の広がりを調べる学問)から借りた言葉です。ウェイトリスト作成ツールの LaunchList の解説では、新しいユーザーの平均人数と定義されています。
たとえば係数が0.2なら、お客様10人が紹介で2人を連れてくる計算です。係数が1なら、お客様1人が1人を連れてきます。
紹介の仕組みそのものは、リファラルマーケティングとは?にまとめています。
計算式:紹介した人の割合×1人あたりの紹介数×始める割合

バイラル係数は、ある期間に紹介で始めた人の数を、もとのお客様の数で割って算出します。LaunchList の解説では「K = i × c」という掛け算の式で示されています。
この記事では、どこを直せばよいかが見えるように、編集部で3つの数に分けて考えます。
バイラル係数=紹介した人の割合×1人あたりの紹介数×紹介された人が始める割合
- 紹介した人の割合: もとのお客様のうち、紹介コードや紹介リンクを送った人の割合
- 1人あたりの紹介数: 紹介した人1人が、コードやリンクを送った相手の数
- 紹介された人が始める割合: 送られた相手のうち、申し込みや初回の購入まで進んだ人の割合
お客様1,000人のサービスを例にします。100人(10%)が紹介し、1人あたり3人に送り、送られた300人のうち60人(20%)が始めたとします。係数は0.1×3×0.2=0.06です。60人÷1,000人でも、同じ0.06になります。
| 今 | 紹介する人を増やす | 始めやすくする | |
|---|---|---|---|
| 紹介した人の割合 | 10% | 20% | 10% |
| 1人あたりの紹介数 | 3人 | 3人 | 3人 |
| 始める割合 | 20% | 20% | 40% |
| バイラル係数 | 0.06 | 0.12 | 0.12 |
紹介する人を倍にしても、始める割合を倍にしても、係数は同じ0.12になります。どちらが動かしやすいかは、サービスによって違います。
目安の読み方:1を超えなくても、紹介でお客様は増える

バイラル係数は、1を超えないと意味がない数ではありません。LaunchList の解説も、1未満の係数について「K < 1 decays but still amplifies acquisition.」と書いています。広がりはいずれ減衰するものの、獲得したお客様の数は押し上げる、という意味です。
紹介で来たお客様も同じ割合で紹介するとします。1人のお客様から K 人、その K 人から K×K 人と増えていきます。合計は、およそ「1÷(1−K)」人です(K が1未満のとき)。
広告費50万円で100人を迎えた場合を例にします。
| バイラル係数 | 最終的なお客様の数 | 1人あたりの広告費 |
|---|---|---|
| 0 | 100人 | 5,000円 |
| 0.06 | 約106人 | 4,700円 |
| 0.12 | 約114人 | 4,400円 |
| 0.5 | 約200人 | 2,500円 |
係数が0.12でも、1人あたりの広告費は1割あまり下がります。係数は「1を超えたか」で見るより、「広告で迎えた1人に、紹介でどれだけ上乗せされたか」で読みます。そうすると、手元の数字で判断できます。
ただし、紹介は時間をかけて起きます。数か月で区切って測ると、表の数まで届かないこともあります。紹介で来たお客様が続くかどうかも、あわせて見ておきます。リテンション施策とは?では、紹介で入ったお客様が離れにくいことを示す海外の研究を紹介しています。
係数を上げる2つの方法:紹介する人を増やす、始めやすくする

係数を上げるには、紹介する人を増やすか、紹介された人が始めやすくするかのどちらかです。1人あたりの紹介数は、お客様の交友関係に左右されるため、ブランドからは動かしにくい数だと考えます。
- 今の3つの数を算出する: 前の節の式に当てはめ、どの数が低いかを確認します。
- 紹介する人を増やす: 紹介の仕組みが、お客様に知られているかを確認します。初回の利用のあとなど、満足しているときに案内します。アンケートで「勧めたい」と答えた人に案内する方法は、NPSとは?にまとめています。
- 始めやすくする: 紹介リンクを開いたら、コードが自動で入力されるようにします。紹介された人にも特典を用意するなら、リンク先のページの最初に見える位置に書きます。
- 1か所だけ変えて測り直す: 一度に変えるのは1つにし、同じ長さの期間で前と比べます。数字を見て直す流れは、紹介キャンペーンのやり方の「ステップ7:測って直す」でも扱っています。
測るために記録しておく4つの数

バイラル係数を算出するには、期間ごとに次の4つを記録します。
| 数 | 記録のしかた |
|---|---|
| もとのお客様の数 | 期間の初めの会員・利用者の数 |
| 紹介した人の数 | リンクやコードが使用された紹介者の数 |
| 紹介された人の数 | 紹介リンクを開いた人の数 |
| 紹介で始めた人の数 | コードやリンクから申し込んだ人の数 |
紹介した人と紹介された人の数は、自社のページに届いた分しか見えません。お客様がメッセージで送っただけで、相手が開かなかった紹介は数えられません。そのため、表の「紹介した人の数」は、計算式で数える「送った人」より少なくなります。係数そのもの(紹介で始めた人÷もとのお客様)は、申し込みの記録があれば算出できます。
紹介コードの入力漏れがあると、紹介で始めた人が少なく数えられます。入力漏れを防ぐフォームの作り方は紹介コードとは?にまとめています。
LINE や外部の予約サイトの中だけで申し込みが終わると、自社では紹介を記録しにくくなります。紹介は自社の申し込みページで受けます。共有から定着までのフェーズごとの数え方は、リファラルマーケティングとは?の「効果の測り方」にあります。
測るために記録する数字:紹介リンクに識別子を付与し、始めた人まで順に数える例
紹介を記録する仕組みの一例として、動画事業者向けのサービス Uscreen の公式ヘルプ「Refer a Friend」の概要ページを見ます。これは Uscreen が顧客の動画事業者に提供する機能の説明で、Uscreen 自身の紹介制度ではありません。
紹介リンクには、会員ごとの識別子が含まれています。ヘルプには「The referral link includes a user-specific variable in the URL that enables tracking.」とあります。リンクを開くと、その記録はブラウザに30日間残ります(「stored in their browser for 30 days」)。その間に登録し、最初の請求を支払うと、紹介として記録されます。
紹介として数える条件は、次のとおりです。
- 紹介者が、ウェブサイト経由で購入した有効またはトライアル中の購読者であること
- 友だちが最初の請求を支払う時点で、紹介者の購読が有効であること
- モバイルアプリ経由の購読者は対象外
管理画面の分析には、Leads・Sign Ups・New Members・Revenue Earned・Members Rewarded などの項目があります。「Members Referring Friends」は、紹介リンクを共有した会員の数と定義されています。紹介した人、紹介された人、始めた人と順に数えられる並びで、この記事の3つの数に分ける考え方と重なると編集部は見ています。
なお、数字はすぐには反映されません。ヘルプには「Analytics data is not real-time and typically updates daily to show information from the previous completed day.」とあり、通常は前日分が1日1回更新されます(2026年10月18日時点)。
海外の例:英国の Monzo は、口コミで加わったお客様の割合を年次報告で示す


Monzo は、英国のデジタル銀行です。公式サイトの年次報告のページには「79% of customers joined through word of mouth」とあります(2026年10月時点)。お客様の79%が口コミで加わった、という意味です。(関連記事:口コミマーケティングとは?広がる4つのフェーズと増やす5つの手順)新しいお客様に限った書き方ではなく、バイラル係数でもありません。お客様がどの経路で来たかの割合です。
英国の送金サービス Wise も、決算の発表で同じ形の数を公表しています。2023年11月の中間決算では、新しいお客様の約3分の2が、今のお客様からの口コミで加わると書いています。
新しいお客様の約3分の2が口コミなら、口コミ以外で来た1人に対して、口コミでおよそ2人が加わっている計算です。ただし、これは今いるお客様全体が連れてきた人数で、1人あたりの平均であるバイラル係数とは別の数です。
そこで「新しいお客様のうち紹介で来た人の割合」とバイラル係数を並べて記録します。割合は紹介が新規の中で占める重みを、係数はお客様1人あたりの力を表します。
まずは、先月の申し込みのうち紹介で始めた人を数え、もとのお客様の数で割ってみてください。0.1に届かなくても、その数が広告で迎えたお客様をどれだけ増やしているかが分かります。
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