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リテンション施策とは?お客様が続く仕組みと、紹介につなげる方法

リテンション施策とは、今のお客様に使い続けてもらうための取り組みです。リテンション率の測り方と、お客様が離れやすい3つのタイミングに合わせた打つ手をまとめました。紹介で加入したお客様は離れにくいことを示す海外の研究も紹介し、続いているお客様への紹介の依頼の仕方にもつなげます。

田中 悠 公開

この記事の要点

  • リテンション施策とは、今のお客様にサービスを使い続けてもらうための取り組みです。
  • リテンション率を測り、「初回の利用」「習慣になる前」「更新や値上げのとき」に合わせて施策を選びます。
  • ドイツの銀行の研究では、33か月後も続けている確率が紹介で加入した人は82.0%、それ以外は79.2%と推定されました。
目次
  1. リテンション施策とは:今のお客様に使い続けてもらう取り組み
  2. リテンション率は「新しいお客様を除いて」測る
  3. 離れやすいタイミングと打つ手
  4. 海外の研究:紹介で加入したお客様は離れにくかった
  5. 紹介は、続いているお客様にお願いする
  6. リテンション施策の始め方

リテンション施策とは、今のお客様にサービスを使い続けてもらうための取り組みです。まずリテンション率を測り、お客様が離れやすい3つのタイミングに合わせて手を打ちます。続いているお客様には、紹介をお願いできます。

定期便やアプリ、スクールは、毎月の利用で売上が積み上がります。新しいお客様が増えても、同じ数だけ離れれば売上は伸びません。

リテンション施策とは:今のお客様に使い続けてもらう取り組み

リテンション(retention)は、英語で「維持」の意味です。マーケティングでは、お客様がサービスを使い続けてくれる状態を保つことを指します。

新規獲得の施策はまだ使っていない人に、リテンション施策はすでに使っている人に向けたものです。広告や特典で迎えたお客様が2回目、3回目と使ってくれるように、使い方の案内や使うきっかけを用意します。(関連記事:ロイヤルティプログラムとは?4つの種類と、自社に合う形の選び方)

Harvard Business Review の2014年の記事は、調査や業種によって幅があるとしたうえで、新しいお客様の獲得には、今のお客様の維持の5〜25倍の費用がかかると紹介しています(Harvard Business Review)。

リテンション率は「新しいお客様を除いて」測る

施策を考える前に、今どれだけのお客様が続いているかを数字で把握します。リテンション率は、期間の初めにいたお客様のうち、期間の終わりにも続けている人の割合です。

リテンション率(%)=(期間の終わりのお客様の数 − 期間中に増えた新しいお客様の数)÷ 期間の初めのお客様の数 × 100

新しいお客様の数を引くのは、もともといたお客様がどれだけ残ったかだけを見るためです(Zendesk)。

月の初めに1,000人の会員がいるサービスを例にします。その月に200人が新しく加入し、月末の会員は1,050人でした。(1,050 − 200)÷ 1,000 × 100 で、リテンション率は85%です。会員の数は50人増えています。新しく加入した200人が全員残っていたとすると、もともといた1,000人のうち150人は離れています。

期間は、払う・使うサイクルに合わせる

期間は、お客様が払う・使うサイクルに合わせると読み違えにくくなります。毎月払う定期便やアプリなら月ごと、年に1回更新する会員なら年ごとです。サイクルより短い期間で測ると、まだ更新の時期が来ていないお客様まで「続いている」と数えることになります。

申し込んだ月ごとにお客様を分け、何か月目まで続いたかを並べると、どの時期に離れやすいかが見えます。

離れやすいタイミングと打つ手

お客様が離れやすいタイミングを、「初回の利用」「習慣になる前」「更新や値上げのとき」の3つに分けます。タイミングごとに、打つ手と見る数字が変わります。

タイミング主な施策例見る数字
初回の利用最初の良さに早く届ける登録直後の使い方メール2回目の利用率
習慣になる前使うきっかけを定期的に作る連続記録・利用のお知らせ2〜3か月目の継続率
更新・値上げのとき解約の代わりを用意する一時停止・スキップ・プラン変更解約率・再開率

初回の利用:最初の良さに早く届ける

申し込んだのに一度も使わないお客様は、良さを知らないまま離れていきます。登録の直後に、最初の1回を終えるまでの手順をメールやアプリのお知らせで案内します。定期便なら、商品が届く日に合わせて、おすすめの使い方をメールで送ります。

見る数字は、2回目の利用や購入に進んだ人の割合です。(関連記事:リピート率の計算方法|リピーター率との違いと、紹介に生かす読み方)ここが低いなら、初回の体験か案内のどちらかに課題があります。

習慣になる前:使うきっかけを定期的に作る

何度か使っていても、習慣になるまでは小さなきっかけで離れることがあります。続けた日数が見える連続記録や、いつも使う時間に合わせたお知らせで、使うきっかけを作ります。

見る数字は、申し込みから2〜3か月目の継続率です。お知らせを増やしすぎると、通知を無効にされることもあります。回数を変えたら、継続率がどう動いたかを確認します。

更新・値上げのとき:解約の代わりを用意する

更新の時期や値上げの案内は、お客様が続けるかどうかを考え直すきっかけになります。「しばらく使わない」だけのお客様も、解約しか選べなければそのまま離れます。解約の手続きは分かりやすく残したうえで、一時停止、配送のスキップ、安いプランへの変更を並べておきます。値上げは、理由と時期を早めに伝えます。

見る数字は、解約率と、一時停止したお客様のうち再開した人の割合です。一時停止中のお客様を「続いている」と数えるか「離れた」と数えるかは、先に決めておきます。決めないまま一時停止を勧めると、解約率だけが良く見えます。

海外の研究:紹介で加入したお客様は離れにくかった

ドイツの大手銀行のお客様を追った研究では、紹介で加入したお客様のほうが、ほかの経路で加入したお客様より続きやすいという結果が得られました。

Schmitt 氏、Skiera 氏、Van den Bulte 氏が2011年に Journal of Marketing で発表した研究です(Schmitt, Skiera & Van den Bulte, 2011)。2006年に新しくお客様になった約10,000人を、最長で33か月追いかけました。紹介で加入した人は5,181人です。比べる相手として、ほかの経路で加入した人から無作為に4,633人を選んでいます。結果は次のとおりでした。

  • 33か月後も続けている確率は、紹介で加入した人が82.0%、それ以外が79.2%と推定された
  • どの時点でも、まだ続けている人どうしで比べると、紹介で加入した人は離れる可能性が約13%低い(属性と加入した月をそろえると約18%)
  • 属性と加入した時期が似たお客様どうしで比べると、紹介で加入した人の価値は少なくとも16%高い
  • 粗利の差は時間とともに縮んだが、続きやすさの差は縮まなかった

2011年の3人に Bayer 氏が加わった研究チームが、2018年に同じ銀行のデータで続きの研究を発表しています(Van den Bulte ほか, 2018)。紹介で加入した人が離れにくいのは、紹介した人がまだお客様でいる間だけだと分かりました。

銀行での研究なので、ほかの業種にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、リテンションと紹介を別々の施策にせず、一続きで考える理由になります。

紹介は、続いているお客様にお願いする

紹介をお願いする相手は、申し込んだばかりの人より、しばらく続けて満足しているお客様から選びます。2018年の研究も、対象の銀行への提言として、獲得から6か月以上たち、利益率が高く、離れそうにないお客様の中から紹介する人を募ることを挙げています。

自社に当てはめるなら、次が目安です。

  1. 申し込みから一定の期間がたっている:「習慣になる前」のタイミングを越えている
  2. よく使っている:利用の回数や購入の金額が多い
  3. 最近も使っている:離れる兆しがない

勧めたい気持ちがあるかどうかは、NPS でも確認できます。勧めたいと答えたお客様に紹介してもらう流れは、NPSとは?計算方法と、「勧めたい」お客様に紹介してもらう方法にまとめています。

紹介した人への特典を、自社のサービスで使えるポイントや無料期間にすると、特典を使うために続けてもらうきっかけにもなります。

特典にかけられる金額は、自社の粗利とお客様が続く期間から逆算して決めます。紹介者(紹介する人)を自己の供給する商品又は役務の購入者(すでに買ったことがある人)に限定する場合、紹介者への謝礼は景品類に該当し、通常、総付景品の規制の対象となります(消費者庁「景品に関するQ&A」Q31)。購入者に限定する場合は、逆算した額も総付景品の上限の内側に収めます。計算式と法律の注意点はリファラルマーケティングとは?紹介の5つの型・事例・特典の決め方で紹介しています。リテンション率を測っておけば、計算式の「続く期間」を自社の数字を当てはめられます。

紹介の仕組みをこれから作るなら、目的・特典・付与条件・受け付け・不正対策・告知・計測の順で決めていきます。手順は紹介キャンペーンのやり方|企画から告知・計測までの7ステップにまとめています。

リテンション施策の始め方

  1. リテンション率を測る:払う・使うサイクルに合わせて期間を決め、計算式で今の数字を算出します。
  2. 離れている時期を見つける:申し込んだ月ごとにお客様を分け、何か月目に減っているかを見ます。
  3. その時期の施策を1つ選ぶ:3つのタイミングのうち、いちばん減っている時期に合う施策から始めます。
  4. 1か所だけ変えて測り直す:案内の文面や送る時期などを1つだけ変え、同じ計算式で前と比べます。
  5. 続いているお客様に紹介をお願いする:申し込みから一定の期間がたち、よく使っているお客様に紹介の仕組みを案内します。

リテンション施策は、離れる時期を数字で見つけ、その時期に合う手を1つずつ試すところから始まります。続いているお客様が増えれば、紹介をお願いできるお客様も増えていきます。

Jolt Me について Jolt Me は、友だち紹介プログラムの立ち上げから特典のお届けまでを自動化する、リファラルマーケティングプラットフォームです。紹介コードの発行、成果の計測、特典の配布、不正の検知までを管理画面ひとつで運用でき、EC・D2C、アプリ・SaaS、スクール、フィットネス・サロンなど幅広い業種で導入いただけます。

監修者

田中 悠

田中 悠

株式会社AREYO 代表取締役CEO

BtoC 向けのリファラルマーケティングプラットフォーム「Jolt Me」を通じて、紹介プログラムの戦略策定から導入までを多方面から支援。

紹介が属人化・形骸化しやすい構造に向き合い、お客様から自然と紹介が生まれる仕組みづくりに尽力。

<<主な略歴>>

キヤノン株式会社に新卒入社後、一眼レフカメラのグローバルマーケティングを担当。その後、株式会社プレイドに参画し、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネジメントを横断し、主にアパレル企業のCX向上を支援。2020年6月より株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、執行役員としてビジネス全体を統括。2025年4月株式会社AREYO創業。

愛媛県松山市出身。みかん好き。

Jolt Me サービス紹介資料

この資料でわかること

  • なぜいま「紹介」なのか
  • Jolt Me の仕組みと、できること
  • 業種別の活用例と、紹介プログラム設計のコツ
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